概 要
ibera Cavity BPMは、直線加速器におけるキャビティ型ビーム位置モニター(BPM)用に設計された信号読み取りシステムです。特に、自由電子レーザー(FEL)のアンジュレータセクションや相互作用点など、ビーム位置の精密な測定が必要な場所で使用されます。このシステムは、低Qおよび高QのSバンドとCバンドのキャビティ信号を処理し、単一バンチレベルでの精度の高いビーム位置測定を実現します。
メリット:
・ サブミクロン精度でのビーム位置測定が可能
・ SバンドおよびCバンドのキャビティ信号を直接処理
・ 単一バンチ測定が可能で、低品質キャビティでも16nsのバンチ間隔をサポート
・ 校正された位置読み出し機能で信頼性の高い測定が可能
このシステムは、精密なビーム制御が求められる加速器施設で特に有効です
仕 様
Libera Cavity BPMは、キャビティ型ビーム位置モニターの信号を読み取るシステムで、特に線形加速器(FELのアンジュレータセクションや相互作用点)での高精度なビーム位置測定に使用されます。以下に仕様を説明します。
◆主な仕様:
・ 測定精度: サブミクロンレベルのビーム位置測定が可能。
・ 信号処理: SバンドおよびCバンドの低Qおよび高Qキャビティ信号を直接処理。
・ 動的範囲: 校正された可変減衰器により、32 dBの広い動的範囲をサポート。
・ バンチ間隔: 16nsのバンチ間隔まで対応し、単一バンチレベルでの位置測定が可能。
・ 位置読み出し: 校正された信号により、高精度な位置読み出しを実現。
データ処理:
・ 周波数変換と中間周波数サンプリングによってキャビティ信号を取得し、FPGAで処理。
・ 特殊なデコンボリューションフィルタを使用し、重なり合うバンチを分離。
・ 時間領域での位置計算アルゴリズムを用いて、単一バンチごとのビーム位置を算出。
性能:
・ 標準偏差: 32 dBの動的範囲において、位置読み出しの標準偏差は1μm未満(1mmフルスケール)。
・ 測定範囲: キャビティの感度、信号強度、測定範囲によっても性能は異なります。
このシステムは、精密なビーム位置モニタリングが要求される加速器やFELのような施設で使用され、ビームの安定性を確保するための重要なツールです
ibera Cavity BPMのハードウェア仕様は、直線加速器において高精度なビーム位置測定を行うために設計されており、以下のような特徴があります。
◆主なハードウェア仕様:
周波数帯域:
・ SバンドおよびCバンドのキャビティ信号に対応
・ 低Qおよび高Qキャビティの信号を処理
測定精度:
・ サブミクロンレベルの位置測定精度
・ 標準偏差1μm未満(1mmフルスケール、32 dBの動的範囲)
データ取得と処理:
・ 周波数変換および中間周波数サンプリングを採用
・ FPGAによる高速なデジタル信号処理
・ 特殊なデコンボリューションフィルタリングでバンチの分離
・ 単一バンチごとのビーム位置計算(16 nsのバンチ間隔まで対応)
動的範囲:
・ 校正された可変減衰器により、32 dBの動的範囲をサポート
・ 可変減衰により、信号強度に合わせた調整が可能
インターフェース:
各種制御およびデータ取得用インターフェースを搭載(詳細はモジュール仕様に依存)
この仕様により、Libera Cavity BPMは精密なビーム位置モニタリングを実現し、特に自由電子レーザー(FEL)や高精度なビーム位置制御が要求される施設での利用が期待されています
ユースケース
Libera Cavity BPMのユースケースは、特に高精度なビーム位置モニタリングが必要な加速器や自由電子レーザー(FEL)施設に集中しています。以下に具体的なユースケースを説明します。
・ 自由電子レーザー(FEL)アンジュレータセクション: FELのアンジュレータセクションでは、ビームの微小な位置変化が出力に大きな影響を与えるため、サブミクロン精度のビーム位置モニタリングが必須です。Libera Cavity BPMは、このような環境で正確な位置測定を行い、ビームの安定性を確保します。
・ 加速器の相互作用点での使用: 相互作用点では、非常に高精度な位置制御が必要です。Libera Cavity BPMは、SバンドおよびCバンドのキャビティ信号を処理し、16nsのバンチ間隔で単一バンチレベルの位置測定が可能なため、相互作用点でのビーム制御に適しています。
・ 高精度ビーム制御システムの一部として: 高度なビーム制御システムの一部として、低Qおよび高Qキャビティの信号を処理し、FPGAを使用したリアルタイム処理により、ビームの安定化と最適化をサポートします。
・ ビーム位置校正とフィードバック: 校正済みの位置読み出し機能により、信号強度やキャビティの感度に基づくフィードバックループを作成し、加速器全体の性能を向上させるための精密なビーム位置制御が可能です。
Libera Cavity BPMは、これらのユースケースにおいてビームの安定性を確保し、精密なビーム位置制御が必要な研究施設で広く使用されています。
採用事例
Libera Cavity BPMは、以下の研究施設で使用されています。
・ CLARA – STFCダーズベリー研究所(英国)
・ Eli Beamlines – エクストリームライトインフラストラクチャー(チェコ共和国)
・ ELI-NP, EuPRAXIA – フラスカーティ国立研究所(INFN、イタリア)
・ SPring-8 – 高輝度光科学研究センター(JASRI、日本)
これらの施設では、正確なビーム位置モニタリングが求められる加速器の運用において、Libera Cavity BPMがサブミクロンレベルの精度を提供し、加速器の安定したビーム制御を支えています